1.財団のルーツ
摘水軒記念文化振興財団は、法人として設立される以前のルーツは江戸時代に遡ります。
旧水戸街道に面して居を構えた寺嶋敏巧は、名主を務めて旧柏村の自治を担いつつ、自らの居宅を「摘翠軒」(※)と称して芳野金陵・西村靖軒らの儒学者を迎え、私塾あるいはある種の文化サロンを提供しました。
摘翠軒には、近隣の住民の他、金陵・靖軒の学友である湯島聖堂の儒学者、亀田鵬斎・綾瀬父子を中心として交友のあった知識人や、水戸街道を往来した人々が訪れました。
現存する屏風・掛け軸・文書等の記録を観ると、岡本秋暉・鈴木鵞湖・柴田是眞・福島柳圃・五姓田芳柳・五姓田義松・小川芋銭・小野湖山・勝海舟・遊行上人・河東碧梧桐ら、江戸から大正時代の文化人たちの名前が確認できます。明治17年には茨城県河内郡女化原に向かう途上の明治天皇陛下もお立ち寄りになられました。
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寺嶋雄太郎邸銅版画
明治27年当時の摘翠軒(※)を示す銅版画です。家屋を新築した弘化元年から、築後50年頃の佇まいです。
画中の組合役場は旧柏村他4か村が合併した千代田村と千代田村に隣接する豊四季村の合同役場です。
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2.設立の目的
昭和30年6月「財団法人 寺島文化会館」の名称で、初代理事長・故寺嶋義一により千葉県柏市に設立されました。
その寄付行為には「この法人は広く文化団体相互の連絡をはかり、それら文化活動を助成振興し又青少年児童の文化向上発展に寄与することを目的とする。」とあります。
設立当時の柏市は市政が施行された直後であり、行政の設置する文化施設は中央公民館しかなく、また、幼児教育施設は市立保育園がひとつあるのみで幼稚園は公立・私立を問わず皆無でした。
それ故、当財団は設立と同時に附属幼稚園を併設し、いち早く幼児教育の場を提供するとともに、保育時間外には各種文化団体に園舎を開放することで市民文化活動の場を提供することを主たる目途といたしました。
期を同じくして設立された柏市文化連盟を中心に始まった柏市文化祭では、書・絵画や活け花などの展示会場や、日本舞踊・バレエなどの発表会場として盛んに利用されました。
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開園当初の園舎 当時のスタッフ 中央が寺嶋義一理事長、右端が寺嶋泰代園長
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柏市文化祭風景(期間中、幼稚園は休園し、教室を展示会場に提供しました。)
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3.活動の経緯
平成7年4月、柏駅東口に文化施設としての「寺島文化会館」(鉄筋3F建/多目的ホール1、会議室3、ギャラリー1)がオープンしました。
初歩の油絵講座や裸婦デッサン会など安価な受講料で参加できる講座や、企画展の開催、また各種文化団体・社会教育団体には無償での会場提供などを行ない、地域に親しまれる施設となりました。特にギャラリーでの企画展では、展覧会の開催にかかる経費(会場使用料・印刷費・搬入出費など)を負担し、作家の活動支援を行ないました。美大生や美術愛好家が初めて経験する個展であることも多く、県外の作家や海外からの留学生などを含み、多方面から好評を得ました。
この文化施設としての「寺島文化会館」を利用した登録団体は延べ350団体、開催した展覧会は300回を数えます。
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閉館した寺島文化会館 初歩の油絵講座の様子 |
ギャラリー solopareta(ソロパレタ)の展示風景
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4.財団名の改称
財団設立以降、柏市の発展は目覚ましく、市民文化会館やアミュゼ柏、近隣センターなど行政の設置する文化施設が充実し、設立当初の主たる事業であった文化活動の場の提供は既にその目的を終えたものとなりました。
平成7年から「寺島文化会館」での活動をを中心とした事業を行なってまいりましたが、平成20年9月末をもって閉館し、文化財事業を中核に於く事業に活動をシフトすることになりました。
そして、財団創立51周年目にあたる平成17年度より、旧名・財団法人寺島文化会館を財団法人摘水軒記念文化振興財団に改めました。
現・寺嶋哲生理事長の6代前にあたる寺嶋敏巧氏が開いた文化サロン「摘翠軒」にちなみつつ、「翠(みどり)」を育んだ地域と人とを「水」に象徴して「摘水軒」という財団名に改称しました。
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5.現在の活動
当財団の管理する文化財は、摘翠軒以来交流のあった文人墨客の遺作の他、現理事長に至るまでの歴代当主による私的コレクションによって構成されています。
肉筆浮世絵、岡本秋暉、花鳥・動物画の3カテゴリーからなる江戸絵画は、内外の美術館や専門誌から出展や掲載の依頼が寄せられ、一定の評価を得ております。
これら文化財事業の他、展示会などを主催する活動等も行っています。
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6.財団概要
平成23年4月1日付を以て、公益財団法人 摘水軒記念文化振興財団に移行しました。
当財団の役員名簿・事業計画書・収支予算書・事業報告書・収支決算書等は、財団事務所にて所定の申込み手続きにより閲覧できます。
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7.情報公開
令和 5年度(2023年)
令和 4年度(2022年)
令和 3年度(2021年)
令和 2年度(2020年)
平成31年度(2019年)
平成30年度(2018年)
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