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 relevos.21〜25

relevos(リレーエッセイ)は、気ままに連鎖します。
当財団は口をはさめません。


 relevos.21 町屋 佳子  「ぼちぼち元気になりますんで…」

 つい先日、私は会社に損害をもたらした。例えば、コマーシャルをうつのには最低でも1億円かかるとか、そんなことを考えれば、安いもんだが、我が家にとっては年収以上の額だった。たいていのストレスには耐えられるタイプなのだが、さすがの私もこれにはへこんだ。ペプシマンが窓にあたったとき以上のへこみぶり。さらに最悪だったのが、その時点で私には人事異動がでていて、その失策の尻拭いは同僚にいってしまったのだ。自分の責任でコケた仕事を、自分で片付けられないこのツラサ。おーまいごっと!!
 30才女性〈同じ部署の同僚〉:よくあることだってば、サイズ間違いなんて。だいじょうぶよん。
 39才男性〈製作部の部署の先輩〉:俺が前々からもうちょっと確認いれればよかったんだから連帯責任だよ。
 39才女性〈異動先の部署の先輩〉:大丈夫だよ、まだ今年始まったばかりだから予算の都合はつくはずだから。
 49才男性〈関連部署の大先輩〉:とっとと頭を切り換えないとね。今度の仕事で同じミスしたら、その程度の金額じゃすまないよ。
 33才男性〈私のオット〉:条件がどうであろうと、受けた仕事は完璧にこなして始めてプロだからなー。
 私の周囲の方々はこんなふうに優しく私をはげましてくれました。ただ、その時点で発狂しそうなほどドツボにはまっていた私が思ったのは「こんな金額のミスなんて「よくあること」ではない。確かに、周りで確認をしてくれる方がいればなかったミスだろうけど、これは私の仕事であって、プロとして私が防ぐべきことであった。予算的にはなんとかなる金額でも、同じだけの利益をとるためにはどれだけ商品を売らなきゃならないことか…。頭を切り替えろといわれて、できるもんならとっくにやっとるわい。それに、オットがそんなきついことを言ってどうするってんだい!」てなことで、最後はほとんど逆ギレ状態。残念だけど、皆の優しさにすがれるほど、私は自分に甘くなかったんだな。これが。ある意味、それも救いだけど。
 さて、貴方の周りにこんなへこんだ奴がいたら貴方はなんて声をかけますか。どんな言葉をかけたところで、残念だけど慰めきれるもんじゃない。でもね、わかってるの。とっても心配して励ましてくれていることも貴方の優しさも。だから、なかなか切り替えができなくても、ちょっとだけ待ってあげて欲しい。貴方の優しさが胸にしみてるからこそ、ちょっとずつだけど、次に立ち向かう勇気がわいてくる。ちょっとずつ元気になれる。
 へこんで以来約1ヵ月、おかげ様で、ぼちぼちですが、私は元気になりつつあります。というのも。あろうことか、こんな私が、今の仕事ではン億円の売上げを扱うことになったのさ。そう、それこそ次にミスったら、年収どころではない。ひぃ〜。泣いてても1円にもならんのだ。明日に向かって、撃てぇ!←何をだ?(…)?
 次は、優秀なキャリアウーマン&ママである小河原直子さんです。


町屋さんは、こんな人…  relevos.21 荒川 菜穂子
町屋さんは33歳。松戸に住む怪人(?)ではないけど変人くらいかな、いえいえほんのジョークです。そのキュートな笑顔とは裏腹に、一本芯の通った、なかなか手強い女性です。そうそう手強いのは、お酒の方も…。向かうところ敵なし! バリバリのキャリアウーマンです。



 relevos.22 小河原 直子  「今のわたし」


 33歳、結婚2年半、夫、子供1人(M子、1歳半)、妊娠3ヶ月、共働き。
−ある朝−
「うわっ!パパ起きて、6時半だ。朝ごはんトーストだけでいい?飲み物はコーヒー?オレンジジュース?ヨーグルトもあるよ」
「早くパパ、M子を起こして、オムツかえて」
「パン焼けたよ、早く食べて、M子うろうろしないでおすわりして食べる!あーもういいや、パパ7時になるからこのパン持って母屋セット(離乳食やジュースのセット)持ってM子をつれて行って」
とバタバタしながら主人と娘を見送り、7時半までに私が用意をして出勤します。どこの家庭でも同じ(?)ような朝の光景だと思います。
 慌ただしい毎日を送っている現在ですが、結婚前の私はのんびり趣味を満喫していました。私の趣味は、読書、銀ブラ(古い言い方)、海外旅行でした。読書は私に輪をかけて本の好きな兄が送ってきてくれる上に、自分の読みたい本を買って読むので、いろいろなジャンルのものを年間20冊以上、金曜日の夜から土・日とずっとベットの中で読んでいて、月曜日に腰が痛くてまっすぐ立てないなんて事もあった程です。銀座は月1回、1人で行く時はあまり混雑しない金曜日に仕事を休んで端から端まで歩き回りました。友達と行く時はおいしいレストランやケーキ屋さんのハシゴでストレス発散です。そして海外旅行、多い時は半年に1回の割合で行っていました。とにかく仕事以外の時間とお金は、全て趣味の為といっていいくらいでした。
 それが今は……本を読んだのはM子の出産で入院していた間に1冊、読んでいない本はダンボールに2箱。銀座に行ったのは結婚指輪を主人と作りに行った時、海外旅行は新婚旅行に行った時と、私にとっては、はるかはるか昔の事です。たまに、子供を預けて遊びに出かけたらと主人も言ってはくれるのですが、月曜日から金曜日まで義母や母に見てもらっているのに休みの日までは、お嫁さんの立場としてはとてもとても……という訳で、今の私には趣味の時間は全くない状態です。
 でも今はそういう時期なのです。
自分の時間が持てないなんて言っていられる時期もいつかは終わってしまう訳だし、今はM子と一緒の人生のレールを走っています。貴重な今の時間を楽しもうと思っています。
 そして夢は、M子が20歳になったら、私が母に連れて行ってもらった様に2人で海外旅行、はるか先の夢ですが。
−そして夜−
「パパ、もう9時になるからテレビ消して電気も消してM子寝かせるよー」とM子をふとんに入れて一緒に眠ってしまう…あーあ、今日もまた終わってあっという間に朝が来てしまうのです。
 次回は苦楽を共にした友人、湯原八千代さんです。


小河原さんは、こんな人…  relevos.21 町屋 佳子
小河原さんは中学3年生から高校3年生までのまさに青春を共有した自慢の友人。ほがらかさと芯の強さはピカイチです。出産後はあっという間に社会復帰。ママとしてもキャリアウーマンとしても完璧???←最近会ってないからなー。茨城県新治郡在住。



 relevos.23 湯原 八千代  「出会い」

 この言葉を聞くとなぜかドキドキしませんか?今までにない事が起こりそうな期待や不安が一気に沸き上がる感じがします。一生の中で、この出会いを多く体験できるのも自分しだいだと思います。
 私自身の出会いと言えば、まず、中学、高校時代と運動部に所属していましたので、いわゆる「先輩」という大きな出会いがありました。それからは、言葉遣いや挨拶といった今後の生活に大いに役に立つ事を教わりました。それに、厳しい練習にも一緒に耐えて来た同級生との出会い。何度くじけそうになったのかわからないくらいですが、その時、いつも隣りに居てくれたのが、彼女達でした。おかげで、最後までやり遂げられた事で、今までにないほどの自信がつきました。
 そして、社会人では、すごく年令の離れた人との出会いがありました。入社したばかりで、毎日が緊張の連続でしたが、職場は、笑顔の絶えない楽しい所でした。総務課という会社の顔とも言うべき所で来場者も多く、接客という仕事でより一層、出会いの経験ができました。中には、一度きりの方もいらっしゃるかと思うと失礼のないよう細心の注意を払いました。以前、来られた方にお茶を出したら、「この前もお茶を入れて頂きました。」と言われた時は、驚いたと同時にとてもうれしくなりました。私にとって、この初めての言葉は、今でも心に残っています。
 私には、もう一つ別の大きな出会いがあります。それは、スポーツです。
幼い頃から、運動神経が悪く、外でもあまり遊ばなかったので、体を動かす事は、大の苦手でした。運動会はもちろん体育の時間が、とても憂うつでした。逆上がりも登り棒も全く出来ないほどでした。そこで練習しかないと思い、練習に練習を重ねてやっと人並みに出来るような状態でした。こんな私が、小5の時、なぜかミニバスケットクラブに入り、他の人に遅れをとらない様にと必死で練習し、人一倍、汗を流しました。すると、徐々に運動自体が嫌いではなくなってきました。その後、6年間、運動部に所属しましたが、こちらは、そんな生やさしいものではありませんでした。休みも無く、朝から晩まで、ただ、がむしゃらに練習し続けました。今では、良い思い出であり、青春そのものです。
 そして、最近、もっと早く会いたかったと悔やんでしまうほどの出会いがありました。「テニス」です。町の教室に通い始めたのですが、こんなにも楽しいとは思いませんでした。和気あいあいとした雰囲気の中で、とてもリラックスしていました。コーチも熱心にそして、何よりも楽しそうに教えている姿が、、教わっている私達にも伝わって来たのです。基本から、最後には、試合までどうにかできるようになりました。そんな中、疑問があると、詳しい人に聞いたり、プロの試合を見たりして、自分がどんどんはまって行ったのです。
 私の出会いはこれからもずっと続きます。今までのを大切にすると同時に会えたことに感謝したいと思います。そして、今後の出会いに期待しつつ、自分自身でも求めて行きたいと思っています。
 次回は徳永税さんです。


湯原さんは、こんな人…  relevos.22 小河原直子
湯原さんは、学生時代、1年の内350日は一緒にいた友人の一人です。この人は怒る事はあるのだろうかと思う程、穏やかな性格の人です。現在、33歳、スポーツ大好き、仕事に遊びにアクティブに行動する女性です。茨城県在住。



 relevos.24 徳永 税   「歳をとっても…!」

 先日、学生時代の友人Sと飲みにいった。今年博士号を取得して、ドイツの研究所にいくことになり、出国の前に飲みに行こうということになったのである。Sとは大学の専門課程からの付き合いであり、かれこれ8年来の付き合いになる。
 飲んでいるときに、ふと「彼との共通点はなんだっけ」と思った。よくよく考えると、共通の話題はそれほど多いわけでもない。ではなぜこんなに親しく付き合っていて、親近感を感じるのだろう。
 専門課程で始めて顔を合わせたのは共通の友人の紹介だったような気がしている。その後話をしていて意気投合した。共に科学者を目指しており同じ理想を描いていた。二人とも生物の多様性を物理学で説明したいという夢があり、お互いに共感した。二人で生物物理学、カオス、フラクタルなどを中心に勉強会を開いた。我々を中心に5〜6人で勉強会を開いたが人は減って、最後はSと私だけになった。そんなこともあってSとは親しく付き合うようになったと思う。
 そうこうするうち我々にもいくらか知識がついてきて、「生物の多様性を物理学で説明する」ことの難しさを理解し始め、Sは物理化学、私は分子生物学と別々の既成の学問領域へと身を置いていった。その後Sは新進気鋭の若手研究者としてドイツの著名な研究所にヘッドハンティングされていき、私は民間企業へと就職した。お互い違う道を進んでいても1年に2〜3回は連絡をとって会い夢を語る。
 お互い物理学と生物学の境界領域というテーマに興味をもったが、互い別の分野にいるから話していても興味が尽きないのだと思う。お互いの専門分野のことは分からなくとも、境界領域の分野で話ができる。
 Sは優秀な研究者で、将来ノーベル賞を取るかもしれない。そんな人間と話していると、不思議とやる気が沸いてくる。新しいことに挑戦する意欲が沸いてくる。彼と会うと刺激を受けるのである。会社の仕事が単調になってくるとSにメールを出して飲みに行く。会社の業務は単調になりがちだが、たまに異分野の優秀な人間と話すのは良いものである。
 最近は「人間老いやすく、学なり難し」をひしひしと感じるようになった。歳をとるほど時間の進み方が早くなる気がする。きっと、時間の感じ方−実際の時間/今まで生きてきた時間、になってるんじゃないだろうか。分母がどんどん大きくなるから時間の感じ方が短くなるんじゃないだろうか。
 子どももできて、30年後の自分の姿も見え隠れし始めた歳だが、まだまだこれからである。Sに刺激を受けながら、30年後には世界最先端の境界領域の話をSと飲み屋でしている自分を想像する。
 次回は屋代敦さんです。私の飲み友達で、また一味違う個性の持ち主です。


徳永さんは、こんな人…  relevos.23 湯原八千代
次にバトンタッチしたのは、同じ会社で、研究の仕事をしている徳永税さん(30才・阿見町在住)です。旅行にゴルフ、パソコンと趣味も幅広く、今は、去年生まれた娘さんと遊んでいる時が、一番楽しいという、とても優しいパパでもあります。



 relevos.25 屋代 敦  「趣味」


 履歴書や懸賞の応募、アンケートなどに必ず「趣味」という1項目がある。このリレーエッセイもテーマが自由である為、「趣味」を題材として取り上げた方も多いのではないでしょうか。
 早いもので20世紀最後の年に私も30才を迎えた。まだまだ若いと思ってはいるが明らかに10年前とは体型も変わり、特にお酒が好きな為、お腹のまわりが気になり始めた。それでも会社に入社して以来約10年続けているスポーツがある。これは胸をはって私の趣味と言えるだろう。またこれとは別に2年程前から始め、現在とてもはまっているスポーツがある。これも私の趣味である。この2つの趣味について、共通点を交えて紹介したいと思う。
 ひとつめは最近オリンピックで盛り上がった「サッカー」である。私の勤める会社では運動が盛んであった為、新入社員であった私は先輩に誘われ当たり前の様にサッカー部へ入部した。とはいっても当時は会社に入ってまで就業後の貴重な時間を束縛されたくはないという気持ちが強く練習にもあまり参加していなかった。そんな私が夢中になったきっかけが「全事業場対抗試合」である。これは会社内の対抗試合で北は土浦(所属チーム)から南は山口県まで、9チームが年1回集い、日頃の成果を競い合い、また懇親を深めるというものである。ここに集まる人達は本当にサッカーが好きで、会社からの補助などほとんど無いが、毎年楽しみにしており、中にはこの日の為に赴任先の海外から帰国して参加する方もいる程である。練習嫌いであった私はその頃試合にも出れず、懇親会の席でも多くの仲間が集まっている中、寂しい思いをした。「どうせやるならあの中心にいなければつまらないじゃないか」
 これがきっかけとなり、これまで約10年続けている事になる。今ではチームの中でも年長に入り、試合後に仲間と飲むビールを楽しみに(もちろん勝利の美酒?)週2回の練習と試合を楽しみにしている。
 最近もうひとつはまっているのが「ゴルフ」である。何でもっと前からやらなかったのだろう?本当にそう思わせる出会いであった。
 職場で流行りだしたのをきっかけに何も分からないままコースに連れていかれた。その日は天候にも恵まれ、こんな雄大な景色の中、手軽に出来るスポーツがあったのかと心の底から感動したものだ。但し世の中そんなに甘くはなく、実際にやってみるとボールは思った通りに打てない、素人には良く分からない通称「にぎり」でこっぴどい目に合うといった様に結果はさんざんであった。それでも終わった後ビールを片手に数少ないナイスショットを語るのは非常に良いものであった。
 これからもこの2つの趣味を生かし、多くの仲間とともに楽しみ、そして、共通点である「飲みニケーション」をはかっていきたい。
 次回は小学時代からの友人で、ゴルフのライバルでもある車田勝美さんです。


屋代さんは、こんな人…  relevos.24 徳永 税
屋代敦さんは30歳。研究所勤務です。土浦市のとなり稲敷郡に住んでいます。土浦と稲敷郡の飲み屋のことなら、何でも彼に聞いてください。




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